KDPの価格設定

価格設定は難しい問題だ。
処女作出版前には、WEBの記事や How to本を読みながら随分悩んだ。

多くの電子書籍業界の諸先輩方は、最低価格を推奨されていた。
KDPでは、ロイヤリティ35%にして99円で販売するか、70%にして250円で販売するか、規約上設定できる範囲の最低価格のどちらか2択を推奨する意見が多数派だった。
実際の実入りで言えば、それぞれ35円か175円かの2択ということになる。

出版前。当時は何冊くらい売れるか全くわからない手探り状態なので「35円でも数ヶ月がかりで1万冊売れれば35万円だ。175円でも月1000冊売れば17万円以上になるが、さすがにこれはちょっと厳しい数字かも知れない。しかし最低でも○○くらいはいくだろう。」などと、まさしく捕らぬ狸の数を空想していた。

結局、処女作の2作は「250円(ロイヤリティ70%で175円)」と設定してて販売開始したのが2014年4月初旬。

SNSや知り合いメールでがんばって宣伝して、ありがたいことに沢山買っていただき、部門1位にもなったのだが、トータルとしては、想像していた皮算用の10分の1の金額だった。
「こ、この売上げで1位なのか!?そんなら10位、100位、の本などは、ほとんど雀の涙じゃないか!?」数千位、数万位の本などは言うに及ばず。
随分と高望みしていた事に気付いてしばらくの間、かなり落ち込んだ。この数ヶ月間どれだけの労力を割いたのか、徹夜連続の日々が走馬灯のようにぐるぐると脳裏を駆け巡った。

そんな絶望のどん底からようやく這い上がった頃、普段から電子書籍を利用していた友人の意見を聞く事ができた。
異口同音に「安すぎる」という意見をもらった。
当時私は「ふーん、そうなのかなあー」程度の受け止めだった。
お二方は、電子書籍の読者ではあるが、電子書籍の出版は未経験だったので、最低価格を良しとする「通説」を知らないのだろうとも思った。
また、初めて出版した自分への「リップサービス」が含まれているのかも知れないとも考えた。「こんな本、10円でも高いわ!」などと言われたら、それこそ立ち直れないだろうが「安すぎる、もっと高く売れるのでは?」という意見は、オトナの社交辞令かも知れない。私だって、それくらいのことは想像できるのだ、えっへん。
ただ、気になるのは、お二方とも、そんなお世辞を言うタイプではないという点。古い付き合いなので、ダメな物はダメと歯に衣着せぬ意見を言ってくれる事は知っている。私はそれがありがたくて、これまで耳を傾けてきた。
「ふむう。もしかしたら、高くてもいいのかなぁ・・・。」

紙の本の場合、一度出版したら価格変更はまあ、事実上不可能と言える。
しかし電子書籍の場合は、価格設定は自由自在だ。設定できる範囲は決められているが、その範囲内なら自由自在に何度価格変更をしても構わない。これは大きなメリットだ。
そうだ、せっかくのメリットなのだから、一度活用してみようか。

気をつけたのはただ一点。
知り合いが既に買ってくれている。その時の価格を下回るような設定変更はしたくない。

その時ちょうど販売し始めたばかりの3作目は、オープン特価400円のスタートとしていたが、おそらく買ってくれる知り合いは、もう既に買ってくれているだろうということで、新しく500円に設定した。段階的に上げるつもりだ。
完全版を5分割したmini版は、99円から250円にアップした。当初の思惑を大幅に上回る2.5倍の値上げだ。
250円で販売していた旧処女作は、500円にした。これはちょうど2倍、思い切った値上げだ。

さあどうだ。

結果は成功だった。
旧処女作は、販売開始から2ヶ月以上経過していたため、チラホラの実績だったが、価格変更後に販売数が減る事はほとんどなかった。
99円のmini版#1は、全く告知をしなかった当初2日ほどの間は、1冊も売れなかった。しかし、mini版#2を250円で販売開始と同時に告知しない段階から初日1冊、二日目2冊と売れ始めた。その後告知を始めたのだけれど、完全版の方がお得な設定にもかかわらず、今でも多少は売れている。
そして本命の完全版も売れた。根拠はないのだがなんとなく、注目してくれている人が多くなったようにな感触がある。
トータルの金額では、少なく見積もっても、処女作出版直後の2倍から3倍の売上げになった。
電子出版の諸先輩方の定説「最低価格至上主義」は、拙作には当てはまらないという結果を実体験した。
どうしてなんででしょうね。買う側にしてみれば、同じ内容なら少しでも安い方がいいに決まっているのだが、最低価格の設定の本は「どうせ大した内容ではないのだろう」的に見られるのかも知れないな。これも推測。

Webを見渡してみると、最低価格を推奨している方の中には「短期間でさっさと作って安く売れ」と指南する先輩もあるが、あくまでもそれはひとつの方向でしょう。もしも全員がその方向で作り始めれば業界は「安いけどつまらん本だらけ」になってしまわないのかという懸念を持っている。
特別な才能に恵まれた天才以外はやはり一生懸命作って、価格に見合う作品を提供するよう努力すべしと、私こと凡人は思っている。
今回は「価格」のお話しなので「内容」についてはいつかまた別に書きたい。

処女作出版直後、期待値に比べて、思惑通りに売れなくて落ち込んでいたのだけれど、これならまだ、見通しが立たないことはない。いやいや、大した売上げではないのだけれど、実際に、やり方によって実際に2倍〜3倍以上になったのだから、今後、やり方によっては、5倍、10倍になる可能性もあるということだ。

価格設定は難しい。
しかしこれもまた、ゲーム感覚でより良い結果を探ってゆきたい。

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